お仕事紹介、第二弾!今回の現場は静かな山道です。
道沿いに張られた電線に、木々が接触しそうになっていたので伐採を行いました。
もくじ
作業内容・現場について
国道から少し外れた山道にも電線が通っています。道沿いに生えている木々が生い茂り、枝の摩擦や倒木で停電を招くおそれがあるため、県・市・電力会社からの依頼を受けて、道沿い一帯の伐採を行いました。
今日は兄まるがいる現場を覗いてみることに
こっちこっち〜。登ってきて!
ええええ。崖!?
こんな倒木地獄、どうやって登るの??
到着してまずびっくりしたのが、作業現場の立地です。 斜面には倒された木々が、雪崩を起こさないように器用に積み上げられ、その上に兄まるたちがいました。「ここまで来て」と言われても道らしき道がありません。
積み上げられた倒木は足をかけても崩れないのか……
登るために掴んだ木の枝や草は引っこ抜けないか……と
ドキドキしながら、這いつくばって登頂しました。
ちなみにこんな現場だと知らなかったため、山を舐めた格好で来てしまいました。
丈の長いスタジアムジャンパーが崖を登るのに邪魔になります。スニーカーから剥き出しの靴下部分(くるぶし)に木の葉や枝がチクチクと刺さります。
最初に言ってよ…
装備を整えるのは、山仕事の常識じゃ
実際の景色がこちら。
バランスを崩したら、一気に下まで転げ落ちてしまいそうですが、こんな足場の悪い中でも作業員たちはまるで忍者のように素早く動き回り、チェーンソーを扱っています。
伐採は危険の高い仕事、そう言われる理由がわかりました。
作業工程(仕事の流れ)
ではこんな現場で、どのような伐採が行われているのか簡単にご紹介します。
今回は高所作業車を使わず、人力での伐採です。ロープとチェーンソーを使って電線近く(道沿い)の木々を倒していきます。
1.伐採する木の順番や方向を決める
作業現場は急斜面で足場が悪いうえ、真横には電線、真下には道路。少し間違えたら大惨事です。安全に伐採を行うために、まずは切り倒す木の順番や切り倒す向きをしっかり決めていきます。
伐採する順番(一例)
まずは細く弱った木や曲がった形の木を切ろうかな
木が密集している中での伐採は、お互いの枝がひっかかって倒れなかったり、他の木との接触で倒れる方向が狂ったり、色々なリスクがあります。まずは安心して木を倒せるだけのスペースを作りたいので、切りやすくて倒れやすそうな細木から伐採することが多いそうです。
細木はもともと弱っているので、他の木がちょっと接触しただけで勝手に倒れてしまう可能性も。残すと危ないので先に伐採します
倒木する方向
伐採する木を決めたら、どの向きに倒すかを考えます。
すでに倒木された木や切り株をストッパー代わり使うことで、伐採した木がそのまま斜面を滑り落ちてしまうことを防ぎます。
下の写真は倒した後の処理。倒した後の木の場所が不安定であれば、安全な場所に移動させます。
簡単に崩れるんじゃないかと思って、登るのがすごく怖かったけど、あの倒木地獄はちゃんと考えて積み上げられていたようです
2.切り株にロープを巻き付ける(2箇所)
伐採する木と倒す方向を決めたら、準備にとりかかります。
人力での伐採はロープを使って木を引っ張ります。そのために木や切り株(2か所)に丈夫なロープ&手動ウインチを巻きつけて土台を作ります。この土台は倒木方向のだいたい垂直線上に線を張れる位置に設置します。(下の写真のオレンジ線が土台)
3.伐採する木にロープをかける
土台の設置ができたら、伐採する木にロープをかけます。ロープをかけるため、お猿のように直接木に登ります。
ひゃ〜。器用に登って行くわ。
兄まるの体重で、木が折れてしまうんじゃないかとハラハラしたけど、意外と大丈夫なもんです
木にかけるロープは2つ。ひとつは倒したい方向に引っ張る主線のロープです。こちらは先ほど用意した土台のロープ(手動ウインチ側)に繋ぎます。
もうひとつは支線(セーフティーネット)のロープ。今回の場合は電線側への転倒は絶対に避けなければなりません。この支線のロープは倒れてほしくない方向の逆方向から引っ張ります。
倒木は何が起こるかわからないから。例えば倒れている最中に、他の木の枝と接触して、くるりんと向きを変えてしまうことも
支線のロープを張ることで、イレギュラーな事態が起きても電線側には絶対に倒れないように予防するわけね
4.伐採する木に切れ目を入れる
ロープをかけて倒す準備が整ったら、チェーンソーで木に切れ目を入れます。あくまで切り目なので全部は切ってしまいません。
5.主線のロープを手動ウインチ(チルホール)で引っ張る
木に切り込みを入れたら、主線ロープを土台に設置した手動ウインチ(チルホール)で引っ張ります。キコキコキコキコ…
6.重さで木が倒れていく
手動ウインチでロープが引っ張られると、ミシミシと音を立てながら木が傾いていきました。ある程度曲がったら、あとはそのまま木の重さで倒れていきます。
パキッ、パキッ、と乾いた破裂音がしたと思ったら
バキバキ!ズドーン!と音を立てて倒れました。
わーーーーー!こんな大きな衝撃、日常生活でなかなか体験することがないや。木には申し訳ないけど、なんかスカッとするね。
倒した木は適当な大きさにチェーンソーでカットしていきます。
今回は木をカットする長さは決められていないため、下に転げ落ちないように、ちょうど収まりの良いところで切っているようです。
こうした作業を繰り返し行なって、この道一帯を何日間かかけて切り倒していきます。
作業員の数にもよるけど、1日50〜100本ほど切ることがあるかな
感想・まとめ
伐採作業の危険性や働くスタッフ達のすごさを痛感した1日でした!
木を一本ずつ倒していくのは豪快で清々しい気持ちになります。自然のなかで体を動かすのが好きな方、達成感を得られる仕事をしたい方におすすめです。
自社評価
子どもの頃、急斜面とか石垣に登りたくて仕方なかった人。アスレチックが好きな人におすすめ
・難易度…★★★★☆
・体力度……★★☆☆☆
・面白い度…★★★★☆